• 日本語 Japanese
  • 英語 English

ようこそ『里舞(さとまい)』の世界へ

 

東京から一番近いことで有名な“棚田”千葉県鴨川市の「大山千枚田」その保存活動の中から生まれたのが、バレエ『里舞(さとまい)』です。

“棚田”は、山の斜面を幾世代もの人々が耕し、修復しながら稲作を行ってきた場所です。
そこは奥山と平地の間にあって“里山”と呼ばれる所にあります。

“里山”には、木々や草花や昆虫や鳥や獣などたくさんの生き物たちがいます。そのすぐ傍で生きることが“里山”のくらしです。

いっときとして単調でない自然。それと関わって暮らしていくということは、まず自然を受け入れること、それから自分を活かすこと、まるで縦糸に横糸を通すようにおり合っていくのです。
そんな中で技が生まれ、繊細な感情や感覚が生まれたのではないかと思います。

そのような感覚は、今を生きるわたしたちの中にもまだ残っていると思います。

棚田の曲線を見ていると、人々の叡知(えいち)を象徴しているようで思わず魅せられてしまいます。

『里舞』は、「里」に生きる生き物たちと人々の心象風景を、独特な方法で表した“人と自然の叙事詩”のような作品です。

ダンサーは、この“里山”“里海”のある土地に生まれた子供たちとそこで子育てをしてきた女性たちです。

足元にある宝を掘り起こすように舞う『里舞』が、まるで風に揺れる稲穂や、田んぼを海原に変える風のようでありたいと思います。

長村順子